ギザギザハートの子守唄

 私が十代の頃に大人気だったバンドにチェッカーズがいた。あの藤井フミヤ氏がいたバンドだ。当時の彼らの人気はアイドル的だったが、しかし私は彼らが嫌いではなかった。
 当時の私の価値観からすれば、アイドル的な存在とは嫌悪の対象だったハズである。しかし、私はチェッカーズというバンドは嫌いではなかったし、むしろ(ファンになるほどではないが)好きだった。なぜなら、あのバンドの楽曲のクオリティが高かったからである。良い意味で歌謡曲的な味わいが絶妙な風味を楽曲に加えていたのだ。その「歌謡曲的な」要素が薄れてからの時期の曲も良いが、やはりチェッカーズといえば初期の楽曲である。

 まあ、当時の私は意気がって「アンチミーハー」を気取っていたが、今となっては結局はミーハーだったと自覚している。そもそも「アンチミーハー」を気取りたがる時点で十分ミーハーだ。それに、かつての私はアイドルポップスというジャンルを見下していたが、実際にはこの分野でも好きな楽曲は色々とあったのだ。

 私がチェッカーズを好きだった理由は楽曲のクオリティの高さだけではない。私には「多人数バンド萌え」という傾向がある。私の「多人数バンド萌え」の原点とはサザンオールスターズだが、多人数バンドは「座って演奏するキーボーディスト」がいてほしいのだ。その点、キーボーディストがレギュラーメンバーとして存在しなかったチェッカーズはちょっと物足りなかったが、なぜ私が「立って演奏するキーボーディスト」が苦手なのかは、何だか見ていて落ち着かないからである。私はキーボーディストに対しては歴史上の軍師タイプ(例えば前漢の張良さん辺りね)のキャラクターイメージを求めているので、そんなこだわりがあるのだ。
 他にチェッカーズの魅力の一つにサックス奏者の存在がある。この点はバービーボーイズも同じだったが、「ホーンセクションが入っている」というのも私の「多人数バンド萌え」にはちょうど良い。だから、当然米米クラブも「ツボ」だった。

 私は多人数バンドが好きだが、少数精鋭のスリーピースバンドも嫌いではない。スリーピースバンドで一番好きなのはスティングがいたポリスだが、少数精鋭ならではの魅力があるのだ。