momokoっていいな

 日本の着せ替え人形の代名詞的存在はリカちゃんだが、このリカちゃんも大人のファンが少なくない。しかし、リカちゃんは基本的に小さな女の子たちを対象にした着せ替え人形である。リカちゃんと同じくタカラトミーから発売されているジェニーもまた、子供向けの着せ替え人形である事には変わりない。
 とはいえ、大人の人形ファンは少なくない。その大人の人形ファンを対象にしたファッションドールがペットワークス並びにセキグチの「momoko」だ。

 momokoは元々、電子メールソフト「ポストペット」のアートディレクターの真鍋奈見江氏が原案を手がけたインディーズドールだった。バービーやリカちゃんやジェニーに細かい設定があるのに対して、momokoには「momoko(桃子)という名前の日本人女性」という設定しかない。バービーら先輩ファッションドールたちとは違って、家族や友人たちの存在が設定されていない。バービーにとってのケンのようなボーイフレンドもいない。全てはユーザーの想像力に委ねられている。
 リカちゃんの家族が重要なのは、日本社会の儒教的要素が前提だろう。バービーとケンとの関係は異性愛主義あってのものだし、何人かの女友達との関係はフェミニズムあってのものだろう。ジェニーとフレンドドールたちとの関係は、十代の女の子たちの交友関係を理想化したものである。
 しかし、momokoはあくまでも「一人」だ。彼女自身が様々なメイクや表情で発表される代わりに、彼女には家族や女友達やボーイフレンドがいない。考えようによっては、様々な仕事に就いたヴァージョンが発売されているバービー以上に「自立した女」のイメージを感じさせる。私は女性や女の子のお人形遊びを「関係性」のシミュレーションだと思っているが、momokoのメーカーはあえて公式にはそういう「他者」の存在を定めていない。あくまでもユーザー自身の意思に「遊び」を委ねているのだ。

 momokoには具体的なキャラクター設定がない。その分、ユーザーには彼女たちをどのように遊ぶかを決める自由がある。年齢設定だって、デザイン次第で好き勝手に決められる。大体、15歳から35歳くらいまでの間だろう。他のファッションドール以上に「自由度」が高いのがmomokoの一番の魅力なのだ。